大人気のオールド上海ウェディング
上海では、今「オールド上海」が流行っています。
「オールド上海」とは…
今から100年以上前、アヘン戦争に敗北した清が南京条約によって広州、福州、アモイ、寧波、上海の5港開港を認めました。
その内の上海には、欧米列強の外国人居留地として租界が設けられました。
租界では治外法権と自治権が認められ、各国がインフラ整備などを進めたため、上海は急速に発展します。
また上海では政府の法が及ばなかったり、外国人入国者にパスポートはいらなかったことから、各国人たちが上海に集まり、更に活況を呈します。
その発展の裏に、法規制がゆるい上海には、同時に売春宿や阿片窟、カジノなどが生まれます。あくまでも華やかで、人々の憧れでありながら、同時に上海は危険も孕んでいくのですね。
そんな、自由で不安定で華やかで、儚いけれどもとびきり輝いていた、そんな時代が「オールド上海」なのではないかと思います。
単にそういう時代だった、というだけではなく、上海にはこの租界時代の美しい西洋建築がたくさん残されています。一番有名なのがバンド(外灘)。川沿いに商社や銀行の重厚な建築が立ち並びます。古いだけではなく、当時の華やかさを残したようなアール・デコ建築です。
さて、本題に。
そんな「オールド上海」風のウェディングが、今上海の若い人たちの間で流行っています。
どんなものかというと、女性はオールド上海を彷彿させるクラシカルなチャイナドレスと、男性はこれまたクラシカルなスーツという衣装。そして背景には「オールド上海」の西洋建築、で記念写真を撮るのです。
上海に行った時にも、こうした「オールド上海」風ウェディング写真を撮影している場面にとても良く会いました。女性は美しくレトロに着飾り、古い街並みに彩りを加えていました。
傍らではレフ板を持った撮影部隊がぞろぞろ歩いていて、そのギャップが少し面白くもあり。
花嫁と花婿が乗ってきたBMW。
赤と白の花飾りがくっついています。
こちらはレトロなチャイナドレスではなく、真っ青なウェディングドレス。
背景にレトロ建築というのも手軽で人気。
チャイナドレス(中国語で旗袍チーパオ)は中国伝統服と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は「オールド上海」の時期に西洋服と中国伝統服とを融合してできた新しいファッションです。
日本ですと、ちょっとコスプレのような面白いファッションの位置づけですが、当時は中国の貴婦人たちが優雅に着こなしたとても上品なものでした。今でも、ギラギラしたチャイナドレスだけではなく、上品な色合い・上品な材質のチャイナドレスが中国で、また日本でも販売されています。
値段は多少高いですが、西洋服を受容し着こなしたオールド上海レディたちのように、日本人も上品なチャイナドレスを普通に着こなす日が来れば良いなと思います。